学生時代に、なんか危ないバイトしてたっていう人いる?
私は当時、すごい田舎の中学校に通ってて。各学年、クラスはひとつずつ。

私の学年は、全部で28人くらいしかいなくて、そのうち半分くらいが女子だった。
で、うちの両親がけっこう厳しい人だったんだけど、もともと関東出身だったせいか、
「方言を真似するのはやめなさい。美しい言葉遣いを心がけなさい。田舎の子みたいな振る舞いをしないようにしなさい」
って、いつも口うるさくいわれていた。服とかも、周りの子たちはテキトーなところで買っていたのに、うちは基本的に百貨店に入っているようなお店で買ったものばかりだったし。

学校ではニコニコして愛想よくしていたから、友達もいっぱいいたけど、心のどこかで
「私はみんなとは違うんだ」って思って、見下していたんだと思う。


休みの日は、電車で30分くらいかかるところの塾に通っていた。
30分も電車に乗れば、そこそこの都会に行けたから。
田舎っていっても、家の近くにも塾はあった。
でも、近場じゃなくて、あえて大手の塾に通わせるっていうのも、親の方針だったんだと思う。

一人っ子だったから、甘やかしてももらえたけど、その分、期待されることも多くって。
いつも塾の日は、塾の近くにある大きな図書館に行きたいからっていう理由で、帰りが少し遅くなることを許してもらっていた。

最初はほんとうに図書館にいっていたけれど、いつも多めに持たせてもらえる交通費の余りがだんだん貯まってきて、塾帰りにゲームセンターとかで遊ぶようになった。

怪しまれたら困るから、塾が終わったらすぐに図書館でなにか本を数冊借りてから、遊びにいっていた。
なんていうか、嫌な子供だったなぁって思うw

あるとき、ゲームセンターがある映画館の前で、知らないおじさんに声をかけられた。
ゲームセンターは映画館の地下にあったんだけど、そこに下りる階段の側に立っていたんだと思う。

「君、○○塾にいってるの?うちの娘も行ってるよ」って。
もしかしたら知ってる子かもしれないって思って、知り合いのお父さんかもって思った瞬間、警戒心なんてなくなってしまって。

「ゲームセンターいくの?お小遣足りてるかい?おじちゃんが、少しお小遣あげよっか」って。
もちろんお金はほしい。
でもただでもらうのは申し訳ない。

じゃあ、お礼になにかすることありますかって聞いてみたら、
「じゃあ、お金いっぱいあげるから、ついておいで」って。

ついたのは、ホテルの一室。
フロントでは「えぇ、娘です…体調が悪いみたいで、少し休ませたいので……」っていっているのが聞こえた。

部屋に入ると、おじさんは冷蔵庫からジュースを出して渡してくれた。
そして、
「お金あげるけど、ちょっと写真とらせてもらってもいいかな?顔はとらないようにするから。簡単なポーズ取ってくれたらいいよ」
って言われて、言われたままにポーズを取った。

最初は、おしりを突き出したりするポーズだったんだけど、おじさんが、
「すごいかわいいね!大人っぽいよ~」
とか褒めてくれるもんだから調子に乗って、自分からスカートをたくし上げたり、まだまだちっちゃい胸を見せつけたりした。

そしたらおじさん、すごい褒めてくれて。
その日は、1時間くらい、しゃべったり写真とっただけなのに1万円をぽんっと出してくれて。

初めて、自分でお金をかせいだ!とか思ったら、使うのもったいなくなっちゃって。
でもそのお金をずっと持っているのもなんかうしろめたくって、ケーキ屋さんで家族の分もケーキを買って帰った。「お小遣ためてたから」っていって。

塾の連絡用にケータイを持たされていたんだけど、親がすごい信用しきってくれてて、私が勝手にパスワードをかけても、何も疑わなかった。

それでおじさんと連絡を取り合って、毎週末会うようになって……。
そのうち、おじさんの知り合いのおじさんたちもやってくるようになった。
あるときなんて、「おじさんの知り合いの家にいこう」って言われて行ってみたら、けっこうおおきなマンションで。

中に入ってみると、リビングのテーブルに、大きな女の人と娘さんっぽい人が座ってて。
挨拶しようとしたら、人形だった。
今思うと、ラブドールとか、そういうやつだと思う。
でも中学生でそんなこと知らなかったから、ただ純粋に、「リアルな人形だな~」ってびっくりしたのを覚えてる。

そこでは、その家のおじさんがコレクションしているらしい衣装をいろいろと着せられた。
今でいう、ゴスロリってやつ。しかも、ちょっとえっちなの。

ロリータ衣装で、コルセットとかなんだけど、胸の部分はまる見えで。
ガーターと、白いレースのついたストッキングを履いて、ショーツはすっごい小さい透け透けのやつだったり。
おっぱいとおしり丸だしなのに、頭にはヘッドドレスをつけさせられたり……。

そんな衣装をたくさん着せられて、写真をたくさん撮られた。
ベッドの上で、手づかみでケーキを食べてって言われて、手づかみでほっぺたとか汚しながらクリームたっぷりのケーキを食べて…それも写真におさめられた。

おトイレにいきたいっていったら、かわいい猫足のバスタブがあるバスルームに案内されて、
「おしっこをしているところも撮らせてほしい」って。

さすがにそれは嫌だっていったんだけど、お金いっぱいあげるよっていわれて、お金ほしさにおしっこをしてみせた。

バスタブの中に裸足になって入ると、ひんやりとしていて冷たかった。
おしっこが指先にあたって、すごくあったかくて……白いバスタブに黄色い液体が流れていく。
おじさんたちのカメラのシャッターの音がばしゃばしゃ響いていたのを覚えてる。

そんなこんなで、1ヶ月後くらいにまたそのお家に遊びにいったとき、一冊のアルバムを渡された。
その中には、ゴスロリのいやらしい衣装をきて、ちょっと血色がよく見えるメイクをほどこされた私がたくさん写ってて……。

それからもおじさんたちとの集まりは続いて、受験勉強を始めるのを機に、お別れした。
そのときもみんな集まってくれて、ささやかなお別れ会をしてくれたのを覚えてる。

実は今でもそのアルバムは大事にとってあって、家を出ることになってこの間部屋の整理をしていたときに、クローゼットの奥の段ボールの中で、それを見つけたんだけど。

そんなことがあったのをまるで忘れてたから、開いてみたとき、そこに写ってるのが自分だって、すぐにわからなかったんだよね。
なまめかしい、リアルな人形が写ってる、って思ったくらい。

淡い色の衣装が多かったんだけど、ちょこちょこ、黒やボルドーの衣装の写真もあって。
幼い、まだふくらみかけの胸とか、まだ色の薄い乳首、ふっくらとしてぴったり閉じた足の間の縦筋があらわになった写真もあって……。

たまに、おじさんたちと笑っておかしを食べているオフショットみたいなのもあって。

自分がやっていたことが、どれだけおそろしいことか。
あのおじさんたちの中に、誰か一人でも悪いひとがいたら……自分は今、ここでこうして普通に過ごしていることはなかっただろう。どうなっていたんだろう。
そう思ったら、すごいゾッとしちゃった。

でもやっぱ、その写真を気持ち悪いって思えなくってさ。
アルバム、捨てられなかったよ。
もちろん、家に置いたままってのは不安だったから、きちんと引越先に持ってきているけれど。

その段ボールの中に、日記帳とか、お菓子が入っていた缶とかもはいってて。
缶のフタあけたら、当時おじさんたちからもらったポラとか手紙とか、あと、お金がけっこうな額入ってました。

今から連絡を取ることはもうできないから、これからの生活で大事に使わせてもらおうって思います。
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